眠れ

道ばたの雪がまだ
残っていたひとを
忘れないように摘み取っていく

大丈夫、今日も旅館でいられた
顔洗うひと、ねむいひと
ねたいねたいと言うひとを
箸でつまんだ
腰の骨 ふとんなら
へやの裏にある
みたこともない場所をすこし壊した
こうした努力が
手の鳴る、もっと近くで聞こえる
死んでも野山を駆け巡る その顔は
とてもうれしそう

店先はお祝いの花をもいで帰っていくおばあさん
このあいだ さむそうな犬が
顔の力で立っていた